それでも、咳をして詰まった餅を押し返すための防御反応ができればいいが、年を取るとその力も弱まるという。
「もうひとつの理由は、お餅の性質にあります。餅の元になる餅米はアミロペクチンでできていて、水や熱が加わり軟らかい状態のαでんぷんである間は消化に良いが、冷めてβでんぷんに変化すると途端に消化が悪くなることが知られています。このため、餅を口の中に入れて喉に送るまでに温度が低下するとお餅が喉の粘膜にくっついてはがれにくくなったり、硬くなってしまい、気道をふさいでしまうリスクが増すのです」
最近は硬い食べ物を口にしない人が増えて、若い人でも餅を喉に詰まらせるケースがあるという。
「お餅のトラブルを回避するには、最初からのみ込みやすいように餅を細かく切って、よく噛んで食べることです。餅を食べる前にはお茶や汁物などで喉を潤しましょう。唾液がたくさん出せるように餅を食べる前にはおしゃべりをするなど口の準備運動をしておくのもいいと思います」