在宅医療を始めると、もう病院には戻ることはできない、退路を断って在宅医療を始める覚悟でなければならない──。こう思っている方がよくいますが、そうではありません。レスパイト入院に限らず、やっぱり病院がよいとなれば、いつでも入院に切り替えられるのです。
一方、余命を告げられた患者さんの中には、せめて年末年始の残された大切な時間を自宅で過ごそうと、あえてこのタイミングで在宅医療を開始される方もいます。
その患者さんは、肺がんの末期で脳へも転移した状態の多発脳転移と、肺に空気が入らず、酸素を血液に取り込む効率が低下し呼吸困難を生じる無気肺を患う、旦那さんと2人暮らしの65歳の女性の方でした。
病状としてはかなり厳しい。ご本人、ご家族ともに、それを十分に理解していました。旦那さんと近くに住む娘さんが相談し、お正月を前に、家に帰らせてあげたいとなったのでした。
老親・家族 在宅での看取り方