Dr.中川 がんサバイバーの知恵

秋野暢子さんがブログで吐露…抗がん剤後遺症の痺れ対策に生活の工夫を

秋野暢子さん(C)日刊ゲンダイ

 シスプラチンの場合、治療後早ければ1~7日で発症。総投与量が500~600㎎/平方メートルを超えると、70%以上に出現するといわれます。総投与量が増えると、手足の痺れに加え、痛みを伴ったり、症状が全身に広がったりすることがあって厄介です。

 薬の種類によっては口やのどの痺れにより、まれに「のどが締めつけられる」「息苦しい」ということも。また、冷感刺激で症状が誘発されることもあり、冷たい水を飲んだり、冷たいものにふれたりして口やのど、手などが痺れることもあります。

 痺れの緩和にビタミンB12が処方されることもありますが、あまり期待できません。秋野さんのブログにあるように、改善されるのを待つのが現実です。

 しかし、日常生活を送る上で、手足の痺れは大きな障害ですから、生活の工夫が欠かせません。足が痺れて力が入らないと転倒リスクが高まるため、階段の上り下りでは手すりを使い、なるべくエレベーターやエスカレーターを利用するのが無難です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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