認知症の人へのアパシーに対する非薬物療法の効果を検証するため、56の研究に対して行われたシステマチックレビューが報告されています。システマチックレビューとは、質の高い複数の臨床研究を、複数の研究者らが、一定の基準と一定の方法に基づいて取りまとめた総説のこと。
それによると、個々人に合わせて構築された活動がアパシーの軽減に期待できるとのこと。介護保険によるデイサービスなどのプログラムに参加するのも一つの方法ですし、私がかかわっているオンライン健脳カフェを活用してもらうのもいいと思います。パソコンさえつなげば家の中で参加できますから。認知症患者さんのことをよく理解している方が、多彩なプログラムから、患者さんに合ったものを選べばいい。
薬物療法に関しては、コリンエステラーゼ阻害薬のアパシーに関する効果が確認されています。漢方薬の抑肝散と、コリンエステラーゼ阻害薬のひとつ「ドネペジル」との併用でアパシーが改善したとの報告もあります。なお、アパシーの症状はうつ病と似ているところもありますが、うつ病とは異なり、抗うつ薬による治療効果は期待できないとされています。
第一人者が教える 認知症のすべて