■顕在化されたマスク問題
マスクに関して言えば、流行が収まっても多くの人が着け続けるつもりというニュースも耳にした。
ただ、このマスクの着用に関しては、感染症予防ということだけではない。健康維持のためというよりは、顔を隠したいというようなまったく別のニーズがある。コロナ流行以前からマスクを着けている人はそれほど珍しくはなく、それが問題にされることはなかったが、コロナの流行が健康と無関係なマスクの着用の問題も同時に顕在化させた。さらにわかりやすく言えば、マスクをしていない人を見つけては着用を強制する“マスク警察”の出現、逆にマスクの着用を断固として拒否する反マスクグループの出現。これは健康の問題ではない。
コロナの流行も、健康だけの問題ではないと言えば当然のことでもある。コロナの流行は、人間の健康以外にも、多くの脅威をもたらした。むしろその健康以外への影響と健康に対する影響が相反するところに最大の問題があった。「命か経済か」というフレーズがしばしば語られたのは、そのひとつだ。しかしこれも、人は健康を失っても死ぬし、貧困で食べられなくても死ぬという、古くからある問題に過ぎない。
医療だけでは幸せになれない