医療だけでは幸せになれない

感染症の流行に終わりなし…不要不急の外出禁止がもたらした矛盾

マスク着用には感染症予防以外のニーズもある(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 さらには、経済という中には、当然、健康とは別の部分がある。むしろ日本のような豊かな国の経済の問題は、個人レベルでは健康の問題ではなく、自由な消費活動の問題である。「不要不急」の外出を避けようというフレーズが強調されたが、「不要不急」こそが多くの人にとっての楽しみ、もっと言えば幸せというのが、今の世の中の主流である。ただその反対に、誰もが「健康第一を目指す」という面をもっており、その矛盾をコロナが明らかにしたということだろう。

 新型コロナという新しい感染症を通して現れた、古くからの根本的な問題を考えたい。よろしくお願いします。

(名郷直樹/武蔵国分寺公園クリニック名誉院長)

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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