がんと向き合い生きていく

「4」が気になる…末期がんで緩和病棟に入った男性の心境

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 今日は、朝、お茶をいただいたら、茶柱が立った。何か良いことがあるかもしれない。昔から、私の心にゲン担ぎのようなものがある。「茶柱が立ったから」とは思っても……でも、今日は何も起こっていない。何も起こらないことが良いことなのかもしれない。

 昔、中国に行った時、出されたお茶には、いっぱい葉のようなものが浮いたり沈んだりしていた。今はあまり気にしないのだが、今日は1本、明らかに茶柱がある。

 リハビリは有り難い。少しの時間のリハで立てるようになった。すごい。それで、今日は動けたのだが、疲れたか、夕方にはまた動けない。

■生きたがっている私がいる

 時計を見ると、夜9時44分! え! これは?? 気分も、行動も変わることはないが、4は死、9は苦に繋がる? よく分からないが、緩和病棟に入ってから特に4、死が気になる。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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