「ものを見る上で非常に重要な働きを担う角膜を守っているのが涙液(涙)です。涙液の最も表面にあるのが油層で、その次が水層、さらにその次がムチン層です」(堀教授=以下同)
涙液の油層、水層、ムチン層が十分に分泌されてこそ涙液が安定し、しっかり角膜を守れる。言い換えると、どれかひとつでも量が少なくなれば、目の不快感や異物感、乾燥感、痛み、眼精疲労などのさまざまな症状が出てくる。よく知られる「ドライアイ」だ。
ドライアイは、涙腺から分泌される「水」の不足が原因と長らく考えられてきた。
「しかし、マイボーム腺機能不全による油の不足も大きく関わっていることが分かってきたのです」
ある報告では、ドライアイ全体のうち、油不足(涙液蒸発亢進型)が50%を占めるのに対し、水不足(涙液分泌減少型)は14%。油不足が水不足を大きく上回る。