スタチンは高コレステロール血症の治療に広く用いられる薬で、体内でのコレステロール合成を抑制します。日本の遠藤章医師が発見して開発されました。コレステロール値を下げるだけでなく、血管内皮機能改善、心筋保護、抗炎症、骨形成促進、免疫抑制といったさまざまな作用を持つとの報告があり、動脈硬化や腎機能低下を抑制させると期待されています。また、外国では大腸がん発生抑制効果や女性特有の乳がんや子宮体がん発症率の低下に関与しているというデータも報告されています。
こうした薬は、日本では原疾患に対する治療でなければ保険適用では処方できません。ですから、原疾患がある人が医師から薬の服用を打診されたときは、素直に飲んだほうが持病を抱えていながらも全体的な健康寿命を延ばすことにつながるといえるでしょう。アメリカ人の平均寿命に比べ、日本人の平均寿命が長いのも、じつはそうした日本で使われている薬の影響が一因ではないかと私は考えています。持病に対して薬が効いているだけではなく、その薬が持っているプラスアルファの作用が健康寿命に貢献しているのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」