Dr.中川 がんサバイバーの知恵

上岡龍太郎さんの訃報で改めて「がんで死にたい」と思い直した

元タレントの上岡龍太郎さん(C)日刊ゲンダイ

 その間、積極的な延命治療はせずとも、痛みを取り除く緩和ケアはされたでしょう。そうすれば、痛みや苦痛から解放され、家族と会話することができる。10カ月近くあれば、お互いかなりのことを伝えられます。

 長男は「母も私もまだ気持ちが追いついていない状態です」と話していますが、少なくとも訃報の発表がこのタイミングなのは、家族との会話があったからでしょう。

 実はこのGW、1人暮らしの私の母が急死しそうになりました。その後回復しましたが、あの日を思い返すとゾッとします。そんな後だけに、上岡さんの10カ月近い時間はやっぱり重い。改めて、私もがんで死にたいと思います。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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