ニューモシスチスは細菌ではないため、一般的な抗生物質は無効です。最初に選択されるのは「ST合剤」という抗菌薬になります。ST合剤はサルファ剤であるスルファメトキサゾールとトリメトプリムという抗菌薬を5対1の比率で配合した合剤です。さまざまな副作用と薬物間相互作用の多さといった弱点があるため、ペニシリンなどの抗生物質の開発とともに使用頻度は少なくなりました。しかし、サルファ剤は人類が最初に手にした細菌感染症の治療薬(抗菌薬)で、ペニシリンなどの効き目が悪くなった耐性菌にも効果を示すことがあり、今でも重要な医薬品のひとつです。
ST合剤の副作用としては、嘔吐や下痢といった胃腸障害、皮疹のほかに、血中のカリウムの濃度が上がってしまう高カリウム血症、血球減少などが知られています。
また薬物相互作用として、糖尿病薬の一部、ワルファリン、フェニトイン、ジゴキシンなどの薬の作用を増強し、副作用や中毒を引き起こすケースがあるため、飲み合わせには十分注意して服用する必要があります。薬の飲み合わせチェックはかかりつけの薬剤師に確認するとよいでしょう。
感染症別 正しいクスリの使い方