危険率は、マスクを着けるよう勧める行為が、勧めない場合に対して、「まぐれで効果ありとなる確率」と考えればよいと前回説明した。
そもそも、まぐれで効果ありとなった可能性が5%より小さければ、まぐれではなく真に有効とするのも、実は伝統的、習慣的に決まっているにすぎない。危険率5%、つまり20回に1回の偶然は許容しようというのは、極めてあいまいな基準で、もっと緩くする基準を利用することも可能だし、もっと厳しい基準を採用することも可能である。そこに科学的に明確な基準はないのである。
重要なことは、危険率から「有効/有効でない」という、はっきりとした判断をする統計学的検定には大きな問題があるということである。そこで最近は「危険率による検定」ではなく、「信頼区間による推定」を用いようとする大きな流れがある。結果のあいまいさをあいまいなままに理解しようという方向である。
医療だけでは幸せになれない