この特殊な膵臓がんは診断時の遠隔転移が多く、3~5割に遠隔転移が認められます。その最も多いのが肝臓です。膵管にできる膵臓がんよりやや若く50代で見つかることも珍しくありません。今回はさらに若い32歳での診断といわれますから、おふたりはつらかったと思います。
ただし、このタイプは積極的な治療で生存期間が延びる可能性があるのも特徴です。おふたりの報告などによると、診断当初は「何もしなければ4カ月。標準治療を進めて抗がん剤で延命していったとして長くて2年」と言われたそうですが、もっと長いケースも珍しくありません。
遠隔転移などがあっても抗がん剤でがんを縮小して手術ができると、5年生存率は43.9%、生存期間中央値は41カ月とする報告もあります。中央値は100人追跡したとき、51番目の数値。41カ月を超えて延命することは十分で、5年を超える延命も報告されています。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵