Dr.中川 がんサバイバーの知恵

特殊な膵臓がんでは手術で5年を超える延命も 旅行系YouTuberみずきさんが手術成功を報告

旅行系ユーチューバーのみずきさんと夫のこうへいさん(本人のインスタグラムから)

 この特殊な膵臓がんは診断時の遠隔転移が多く、3~5割に遠隔転移が認められます。その最も多いのが肝臓です。膵管にできる膵臓がんよりやや若く50代で見つかることも珍しくありません。今回はさらに若い32歳での診断といわれますから、おふたりはつらかったと思います。

 ただし、このタイプは積極的な治療で生存期間が延びる可能性があるのも特徴です。おふたりの報告などによると、診断当初は「何もしなければ4カ月。標準治療を進めて抗がん剤で延命していったとして長くて2年」と言われたそうですが、もっと長いケースも珍しくありません。

 遠隔転移などがあっても抗がん剤でがんを縮小して手術ができると、5年生存率は43.9%、生存期間中央値は41カ月とする報告もあります。中央値は100人追跡したとき、51番目の数値。41カ月を超えて延命することは十分で、5年を超える延命も報告されています。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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