こうした全参加者のうち一定の条件を満たしたものに限って行う検討を「サブグループ分析」と呼ぶ。サブグループ分析には参加者数が減少するために統計学的な有意差が出にくいという部分と、逆に極端な結果が出やすく有意差が出やすいという両面がある。いずれにせよ偶然の影響が大きく、どのような結果であっても注意が必要、有意差の有無を無条件に受け入れてはいけない。統計学的な有意差を見るのであれば、全体の検討結果のみを対象とすべきである。
そこから得られる情報は、「マスク推奨により40%ほどの人が正しく着用して、1000の感染を905程度まで減らしたが、その結果は大きく見積もっても1000を815に減らす程度の効果かもしれない」というところである。しかし、ここまで読めてようやく医療の効果を検討した論文を読み、考えることのほんの入り口に立ったに過ぎないのである。
医療だけでは幸せになれない