Dr.中川 がんサバイバーの知恵

AIががん診断の主役になる…胃も大腸も精度は専門医並み

CT検査で組織のタイプまでわかる日も(C)PIXTA

 AIのメリットは、人間と違ってケアレスミスがなく、見落としがありません。胃がんの中で難治性のスキルス性は表面がわずかに陥凹(かんおう)して粘膜の下に浸潤するため、隆起する病変に比べると、内視鏡での発見が難しいのが特徴です。

 このAIは、陥凹型についても専門医の領域予測と重なり合った症例が紹介されていました。“教師画像”の蓄積で精度が上がれば、今後、スキルス性の早期発見に力を発揮するでしょう。

 大腸がんでも、専門医に匹敵する精度のAIが誕生しています。画像データは内視鏡に限らないので、ある患者の画像を含む全データを利用したAI診断が進む日は近いかもしれません。

 放射線分野でも同様です。私が所属する東大病院では先日、肺がんの疑いでX線撮影が行われましたが、AIは肺がんを否定。シロ判定でした。その判断は、X線→CTによる学習がベースになっています。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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