第一人者が教える 認知症のすべて

新薬レカネマブは誰もが使えるわけではない…早期アルツハイマー病患者が対象

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」の承認が決まりました。

 先週、本欄でお伝えした通り、レカネマブは、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβを除去する抗体医薬です。これまでは、約10カ月ほどで効果がなくなる薬しかなかったため、認知機能の低下を持続的に抑制する今回の新薬に大きな期待が集まっています。認知症の患者さん、もしくは認知症のご家族を持つ方の中には、レカネマブをぜひ使ってみたいと思っている方もいるかもしれません。

 ただ、レカネマブは、アルツハイマー病の患者さん全てに使える薬ではありません。治験では、アルツハイマー病の前段階である軽度認知障害(MCI)と、アルツハイマー病の軽症患者を対象としており、これらの早期アルツハイマー病患者さんにおいて、薬の効果が期待できるとしています。

 レカネマブをはじめとするアルツハイマー病の抗体医薬の投与は、早ければ早いほどいいのではないか──。それが、これまでの研究結果から考えられていることです。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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