フィラリア症を発症すると、急性期には発熱や悪寒、筋肉痛を生じることが多く、慢性期にはリンパ管の流れが障害されて陰嚢が巨大に腫れるケース(陰嚢水腫)もあります。また、皮下組織が肥大して、外観が象の足のようになること(象皮症)も知られています。
古くは、西郷隆盛がフィラリア症による陰嚢水腫を発症していたことは有名です。馬にまたがることができず、戦場をかごで移動したり、西南戦争後、首のない死体検視にあたって陰嚢水腫の存在から西郷隆盛本人と判定されたと伝わっています。
人のフィラリア症は熱帯・亜熱帯地域ではいまだ見られる感染症で、全世界で1億人以上の人が感染していると推定されています。日本では1988年の沖縄県での根絶宣言をもって、「世界で初めてフィラリアを根絶した国」となりました。実際、日本では発症者は見られなくなったのですが、地域によっては注意が必要な感染症です。海外の該当地域に旅行に行く際にはしっかり対策しましょう。
感染症別 正しいクスリの使い方