感染症のリスクを論じる際には、重症化リスクだけでなく、感染するリスクも考慮する必要があります。マラリアの感染リスクとは、原虫を持った蚊に刺されるかどうかです。マラリアを媒介できるのは、メスのハマダラカだけです(オスは吸血しません)。マラリア原虫を持った蚊がどのくらいの割合で存在するかは、地域によって異なりますが、蚊に刺される回数が多いほど、感染リスクが高まることはたしかです。
そこで気になるのが血液型です。昔から「O型は蚊に刺されやすい」と言われてきました。ところがこれは、ただの俗説でもなさそうです。
1972年にイギリスのオックスフォード大学の研究者たちが、ハマダラカに血液型の好みがあるかどうかを調べる実験をしてみました。102人の被験者(A型41人、B型14人、O型42人、AB型5人)の腕を、それぞれ10分間ずつ、20匹のハマダラカが入った袋に入れて、何回刺されたかをカウントするという単純明解な実験です。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。