糖尿病は生涯を通して認知症の危険因子となると、前述しました。
こんな研究結果があります。アルツハイマー型認知症は、脳の中にアミロイドβがたまってアミロイド斑(老人斑)が蓄積し、神経変性が起こって発症に至るわけですが、2型糖尿病でアルツハイマー型認知症を併発している方を調べると、アミロイド斑による神経変性よりも、血管の病変の増加が目立っていたという所見が認められました。
神経変性を招くアミロイドβの蓄積は、40~50歳あたりから始まりますから、高齢になってからなんらかの対策を講じるのは難しいでしょう。
しかし、血管病変については、対策を講じることが十分に可能です。それが結果的に、脳卒中や心血管疾患の予防になるのです。
その対策とは、食事や運動。当院が行っている「健脳カフェ(認知症を発症する前の方を対象にしたカフェ)」では、対面でやる場合もオンラインでやる場合も食事指導と運動を積極的に取り入れていますが、これは血管病変の予防に役立つからなのです。
第一人者が教える 認知症のすべて
糖尿病は生涯を通して認知症のリスクを上げる…1.54倍に増加
血管病変を起こさないための対策を