がんと向き合い生きていく

妻が乳がんと言われ…ほとんど覚えていない同級生から電話がかかってきた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 ある日、自宅に電話がかかってきました。

「同級生の○○です。覚えてる? 以前、入院していた親戚のことで、相談いただいたことがあるのだけれど……」

「○○君?」

 だんだん思い出してきた。

「じつは妻のことで……乳がんと言われたのです。それも骨に転移があると」

「え! それは、大変だ。どこの病院に行っているの?」

「△△大学病院です」

「腫瘍内科ですか? 乳腺外科ですか?」

「乳腺外科です」

「そこなら信頼できる。しっかりしていると思いますよ」

「相談したいのは、Bクリニックというのがあって、そこでは免疫療法をやってくれるというのです。でも、自費で1回200万円かかると聞きました。どう思います?」

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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