■従来薬は副作用も多かった
冒頭でも触れたように、これまでの治療法はいくつも課題がありました。
従来の薬物療法では、発作を予防するβ遮断薬や、心筋の収縮を制御するカルシウム拮抗薬が使われますが、いずれも症状の改善や進行を遅らせることを目的とした治療で、根本的に病気を治せるわけではありません。
また、病状が初期の段階なら改善を望めますが、重症になってくると効果が不確実なうえ、薬を大量に投与した場合、房室ブロックを起こすリスクが高くなります。心房の興奮が心室まで十分に伝わらず、心室が止まってポンプ機能が働かなくなってしまうため、ペースメーカーを植え込んで、一生付き合っていくことになります。
ほかにも、副作用として意欲を喪失してやる気がなくなったり、男性機能障害が起こるケースもあります。投薬治療では、そうした副作用を受け入れながら続けなければならないのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」