第一人者が教える 認知症のすべて

認知症予防プログラム…歌いながら左手と右手でそれぞれ別の動きをする

写真はイメージ

 私たちは日常生活で、自然とデュアルタスクを行っています。例えば、テレビの料理番組を見ながら、そのレシピをノートにメモする。人によっては冷蔵庫の中身を思い出し、夜の献立を組み立てることもあるでしょう。

 料理自体が、デュアルタスクです。料理の手順を考え、食材を切り、火にかけている鍋の具合をチェックする。出来上がり時間を気にし、盛り付ける食器を選ぶ。

 ラジオを聴きながら洗濯物を畳み、流れてきた懐かしい曲に合わせて口ずさむ。これも「ラジオを聴く」「洗濯物を畳む」「歌う」のデュアルタスクですね。

 こうやって挙げてみると、改めて家事の多くはデュアルタスクだと痛感します。大抵の場合、家事は定年退職がありません。食卓がマンネリ化しないように、いくつになっても新しい調理法にチャレンジする方もいます。これらは、認知機能低下予防に役立っているといえるでしょう。ある40代の女性が、苦笑しつつ、こんなことを言っていました。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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