第一人者が教える 認知症のすべて

認知症予防プログラム…歌いながら左手と右手でそれぞれ別の動きをする

写真はイメージ

「母はずっと専業主婦。父亡き後、母と同居になってから、『家の中のことは何もしなくていい、好きなことだけして過ごすようにしてね』と言ったんです。最初は近所の図書館やデパートの絵画展に出かけていましたが、そのうち、ぼーっとして過ごすようになってしまいました。叔母(母親の妹)から『私たちにとって、家事は生きがい』と言われ、思い切って母に頼るようにしたら、以前のような元気を取り戻してくれたんです。母の方が家事にたけているので、口うるさく、時にイラッとするんですが」

 お母さんは、大学生のお孫さんを喜ばせようと、今まで作らなかったような料理にもチャレンジしているそうです。

◆デュアルタスクができなくなったら◆
 ・テレビを見ながら、メモを取れない
 ・食材を切りながら、鍋の様子をチェックできない
 ・ラジオを聴きながら、洗濯物を畳めない

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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