その患者さんも、それまで入院していた病院から、「無理して歩かせると心不全を悪化させるリスクがあるので原則、車いすでの生活になるかもしれない」というお話があったそうです。しかし近年は、適度な運動は筋力を維持して心臓の負担軽減につながり、運動能力を改善させることで心不全を起こしにくい体をつくれるという効果が世界トップの米国医学誌で明らかになっています。心不全だからこそ、しっかり体を起こして適切に歩かせなければいけないのです。
たしかに、心不全では心臓に無理な負荷をかければ悪化します。しかし、負荷をかけた分だけ、心臓は強くなります。深刻な状態まで悪化させないようにギリギリのところまで負荷をかけ、ケアを行いながら心臓を強くし、強くなったところをさらに引き上げていく。悪化する一歩手前まで運動で負荷をかけ、それを繰り返して基礎を積み重ねていくと、患者さんは驚くほど回復するのです。
正解のリハビリ、最善の介護