正解のリハビリ、最善の介護

回復期病院を選ぶ際に「主治医の力量」が重要なのはなぜか

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 また、「痛みがあるから夜に眠れない」という患者さんもいます。痛みのコントロールはリハビリを行う上で最も重要であり、睡眠障害の原因を取り除かなければなりません。

■「昼間に起こす」治療が必要になる

 ほかに「精神・高次脳機能障害」によって睡眠に影響が出ているケースがあります。脳の一部が損傷したために精神機能が障害された状態で、不穏やせん妄を起こして夜に眠れなくなることがあります。この場合、睡眠薬だけではコントロールが難しく、抗精神病薬をプラスした治療が必要です。神経伝達物質のドーパミンの働きを抑えることによりせん妄などの症状を改善し、夜に眠れるようにします。

 ただ、睡眠薬と同じく抗精神病薬も使いすぎると昼間も眠くなってしまいます。かといって少なすぎると夜に眠れないので、適切な頃合いを見定めなければなりません。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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