「精神科は専門外なので……」などと言う主治医では対応できず、リハビリもうまくいきません。さらに「覚醒障害」によって睡眠のバランスが崩れているケースもあります。「夜もそこそこ眠っているけれど、昼間も眠っている」という患者さんがこれに該当します。この場合、「昼間に起こす」治療が必要で、2つの方法があります。
ひとつは、抗重力位の姿勢をとる=立たせて脳に重力を感じさせる方法です。抗重力位の姿勢では脳が刺激され、患者さんの覚醒が上がっていきます。そのため当院では、患者さんが入院してから2週間は迅速に立たせて歩かせ、コミュニケーションをとって脳に刺激を与えながらリハビリを進めていきます。
これで覚醒しない患者さんは、本質的な覚醒障害があると判断できます。脳内のホルモンや神経伝達物質のバランスが崩れている状態です。こうしたケースでは薬物治療を行います。先ほども触れたドーパミンの分泌が少ないと活力が落ちて覚醒が低下します。ですから、ドーパミンを賦活する薬を使います。
正解のリハビリ、最善の介護