正解のリハビリ、最善の介護

回復期病院を選ぶ際に「主治医の力量」が重要なのはなぜか

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 より良い回復期病院を見極めるためには「力量のあるリハビリ主治医が在籍しているかどうか」が重要なポイントになります。主治医には、患者さんの病態を診て、リハビリでどこまで回復できるのかを予測し、目標に到達させる力量が求められます。リハビリを始めたものの、当初の予測より回復の度合いが上がってこない場合、的確に修正してペースを上げる必要があるからです。この第1段階として回復期リハビリ病院に入院して最初の2週間で、意欲的なリハビリ治療ができる信頼関係と全身状態に整えられる医師力が必須になります。患者さんの全身状態が不安定ではリハビリも進みません。

 修正の方法はさまざまありますが、そのひとつが「睡眠障害」への対処です。これまでお話ししてきたように、リハビリでは「夜の就寝時間以外、昼間は起こす」ことが重要です。1日最大3時間(20分×9単位)と定められているリハビリ以外の時間のほとんどをベッドで寝て過ごしていると、昼寝をしてしまい、回復の度合いは落ちてしまうのです。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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