正解のリハビリ、最善の介護

回復期病院を選ぶ際に「主治医の力量」が重要なのはなぜか

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 患者さんの中には、生活リズムのバランスが崩れて昼夜が逆転したり、睡眠する体力が低下して、夜に十分な睡眠をとれず、昼間にうとうとしっぱなし、といったケースがあります。するとリハビリによる回復のペースは上がってきません。

 こうした場合、「なぜ昼夜逆転が起こっているか」を主治医が的確に見極める必要があります。考えられるのは、「昼寝をしている」「夜に眠くならないから十分な睡眠がとれていない」ケースです。そうした患者さんには睡眠障害の治療を行います。睡眠薬を使った治療より、「夜に眠って、朝に起きる」という本来の、日中に覚醒しているリズムをつくっていくのです。

 患者さんは眠れる体力がない状態になっているので、やみくもに睡眠薬を使うだけでは昼間も眠ってしまいます。回復期リハビリ病院への入院後は2週間以内に夜に眠れるリズムと体力をつくることが基盤になります。最初の2週間の離床と体力向上プログラムで睡眠障害が改善しない場合は、主治医は「夜にはしっかり眠れる」ための投薬管理を見極めます。ただ、主治医は24時間ずっと患者さんについているわけではありません。ですから、24時間患者さんと接している看護師と連携して、睡眠障害のタイプを把握したうえで的確に対処することが重要です。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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