日本に生まれてよかったとの言葉とは真逆に、「この国に生まれたるの不幸」という言葉がありました。都立松沢病院の玄関に刻まれている、100年前の呉秀三院長の言葉です。
「我が国十何万の精神病者は実にこの病を受けたるの不幸の外に、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし」
当時の日本は、精神病者監護法で精神病者を私宅監視、つまり、家族が座敷牢で監視することを認めていたのです。これは1950年に精神衛生法でなくなったのですが、日本の悲しい過去です。
また、ハンセン病においては、感染力がきわめて弱い菌なのに、診断されると強制収容されて、そのまま一生を過ごした方がたくさんおられます。現在、国内のハンセン病の療養施設は13カ所あり、約800人の患者さんがおられるようです。私は、東村山市の多磨全生園、青森市の松丘保養園を訪問したことがあります。
がんと向き合い生きていく