その結果、患者さんは覚醒し、しっかりした言葉で話され、コミュニケーションも正常になりました。体を動かすリハビリもどんどん進み、1人で杖歩行できるようになり、来院された当初とは別人のように回復されたのです。そんな患者さんの姿を見て、ご家族もびっくりされていました。
もしも、あのまま薬の影響が見逃されていたら、この患者さんは重介助の状態が20~30年ほど続き、そのまま亡くなっていた可能性もあります。ご家族の負担も大きかったでしょう。主治医の力量=医者力は、患者さんやご家族にとってそれくらい大きいのです。
■まずは薬を5種類以下に減らすことを目指す
日本では、薬の副作用によって状態を悪化させているケースが多くあります。80代、90代の高齢者が10~20種類ほどの薬を当たり前のように飲んでいるのですから、それも当然でしょう。いわゆる「ポリファーマシー(多剤併用)」と呼ばれる問題です。
正解のリハビリ、最善の介護