老親・家族 在宅での看取り方

誤嚥のリスクが多少あっても好きなものを食べさせてあげたい

好きなものを食べられると気持ちは前向きになる(写真はイメージ)/(C)iStock

「プリンみたいなものなら問題ないでしょう」(私)

「わかりました。そういうものを買ってみます」(息子さん)

「あと、母はカルピスが好きで毎日飲んでいるのですが、とろみをつけるとおいしくないと。普通の水は誤嚥の危険性はありますか? 少しでも気分を明るくさせたいんです」(息子さん)

「薄くとろみでもつけておいたほうがいいかなと思います。1口の量はスプーンですくって2㏄くらいで、1口につき、ごくん、ごくんと2回くらいに分けて飲んだ方がいいかと思います。もし大丈夫そうであれば、とろみを減らせるよう挑戦していきましょう。好きなものを食べられるだけで、生活の質はあがりますもんね」(私)

「いつもご丁寧にありがとうございます」(息子さん)

 好きなものを食べられるだけで気持ちは前向きになります。息子さんの優しい思いに共感し、私たちも精いっぱい協力しようと励まされた気持ちになったのでした。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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