正解のリハビリ、最善の介護

リハビリ主治医に適切な「栄養管理」が求められるのはどうしてか

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 低栄養や不適切な栄養管理のまま積極的なリハビリを行うと、エネルギーが不足します。すると不足したエネルギーを補充するために筋肉が分解され、逆に筋肉量が減少してしまいます。そのままリハビリを続けても、筋肉量がどんどん減って回復のペースも上がらない悪循環を招くのです。

 患者さんの栄養障害を改善させるには、個々の病状にもよりますが、タンパク質の補充が基本になります。日々の食事に加え、プロテインを摂取してもらいます。

 摂取量は一般的には「患者さんの体重×1.2グラム」に設定されますが、筋肉量が低下していたり、体力が落ちている患者さんでは「体重×1.5グラム」くらいの量が必要になるケースもあります。患者さんのBMI(体格指数)や体重減少率などを把握しながら、適切な量のタンパク質をゼリーやジュースの形のプロテインで補充するのです。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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