睡眠障害、覚醒障害、栄養障害のほかにも、回復が上がらない原因はまだあります。それが「痙縮」です。
当連載の第8回で詳しくお話ししたように、痙縮というのは、脳内の神経伝達物質の分泌のバランスが崩れてドーパミンが不足し、体全体の筋肉や関節が硬直して動かなくなり、寝たきりになってしまう状態です。自分の意思で体を動かすことができないので積極的なリハビリは行えません。
その予防のためには、常に全関節可動域を十分に動かし、全身の姿勢のコントロールを保ち、かかとを正確に接地して上肢や下肢を重力に抗して最大限に長く動かしていくことが大切です。さらに、重症例では筋弛緩薬のバクロフェンなどのクスリを使いながらリハビリを進めていく治療が必要になります。
このように、リハビリによる回復の度合いが上がってこない場合、主治医がその原因をきちんと見極められれば治療による介入ができます。しかし、主治医の力不足で原因を把握できないと、「この患者さんの回復は、この程度で仕方がない」で終わってしまいます。だからこそ、より良い回復期病院を選ぶためには、患者さんを回復させる意欲のあるリハビリ主治医が在籍しているかどうかを確認するのが重要なのです。
正解のリハビリ、最善の介護