老親・家族 在宅での看取り方

義父の干渉で、義母が検査や治療を積極的に受けたがらない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その口調からは義父への不満、そして強い焦燥感と責任感があふれ出ています。

「入院について、やっぱり義父が義母にこまごま言っていたみたいで。なんでそれくらいで受診したんだとか。耳鼻科の件も、受診を勧められたときに、そんなに迷惑かかることして……というような小言を言ってたみたいです。旦那から聞いたんですが、義母も人に迷惑をかけたくないと言いだしてしまって。義母がもしこのまま症状がひどくなっても、誰にも言えなくなるのが心配で」

 身近な人に病魔が迫っている時でも、家族ですら考えを共有し方向性を一致させることは難しい場合が少なくありません。

「今回の緊急時、義父は何もできなかったみたいです。何度も義父に義母のこと見ていてと言っているんですけど。自分も薬の副作用で眠くなるからってちゃんと聞いてくれなくて。普段は副作用と認知症気味でボケボケなのに、義母に対する嫌みは大きな声ではっきり言うんです。一応夫婦だから義父がキーパーソンとして登録されていると思いますが、本当の意味でキーパーソンではないんですよね。なので今後の大事な決定とかは義父に委ねたらダメなんです……」

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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