第一人者が教える 認知症のすべて

定年後…一方は人生を謳歌し、一方は内向き生活で認知症に

フレイル対策が認知症対策にもなる(写真はイメージ)/(C)iStock
懐かしのディスコで音楽に身をゆだね、踊り楽しむ

 この連載の担当者が今ハマっているのがディスコだそうで、かかっている曲が1970~80年代が中心ということもあり、常連客は60代半ばが中心。70代のお客さんも多いそうです。

 平日はカラオケ、土日がディスコという営業スタイルで、常連客の中には、平日はカラオケで踊りながら熱唱し、土曜日は夕方から深夜過ぎまで、日曜日は午後の早い時間から夜まで踊り続ける方もいる。お酒よりも踊り重視。お酒を飲まず、車や自転車で通っている常連客もいる。

「皆さんすごく元気なんです。毎週顔を合わせ、おしゃべりして、笑って、踊って。踊り慣れていないお客さんが来たら、親切に教えたりして。あの生活を送っていたら、脳の機能も落ちないんじゃないかと思いました」(担当者)

 お酒の量が少ないというのが前提ですが、自分が若かった頃の曲を聴き、踊り(適度に体を動かし)、異性も含めさまざまなバックボーンの方と交流する。そういう環境は、脳の活性化につながりますし、身体的・心理的・社会的フレイル対策にもなるので、認知症対策にもなるでしょう。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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