やせる糖尿病薬「SGLT2阻害薬」の意外な副作用…多血症との関係

健康診断時は服薬の告知を

■服薬を中断すれば数値は戻るが…

「SGLTはナトリウム・グルコース共役輸送体と呼ばれるタンパク質の一種で、ナトリウムはグルコース(ブドウ糖)を細胞内に取り込む働きをします。SGLT2はその中でも、腎臓の近位尿細管という限局した部位に存在しています。SGLT2阻害薬はその働きを阻害することでブドウ糖の再吸収を抑え、血糖値を下げる薬です」

 この薬は従来の糖尿病の薬のようにインスリンを分泌する膵臓を、薬を飲むたびに刺激して酷使させることがない。そのため、膵臓に優しい糖尿病薬として高い評価を得ている。

 しかしその一方で、血管から水分を排出させ、見かけ上、血液中の赤血球の割合を大きく見せる場合がある。

「多血症には3種類あります。①血管内を循環している赤血球の量が増加する『絶対的多血症』②血管内を循環している血漿の量が減少することで、見かけ上の赤血球が増加した『相対的多血症』③主に喫煙によりヘモグロビンが一酸化炭素と結合して全身への酸素供給量が減少し、その代償として赤血球が増加する『二次性赤血球増加症』です。SGLT2阻害薬は相対的多血症を招くだけでなく、腎臓へのストレスを軽減させることで腎臓での造血因子(エリスロポエチン)の分泌を促進して赤血球増加が起こるとも考えられます。ただ、現時点ではSGLT2阻害薬による多血症が大きな問題になっているわけではなく、薬をやめれば元の値に戻ります」

 健康診断で、糖尿病治療のためSGLT2阻害薬を服薬していることを告げておかないと、健康診断の医師が誤解する恐れがある。SGLT2阻害薬を飲んでいる人は、そうしたことが起きる可能性があることも知っておく必要がある。

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