やけどの正しい治し方(2)ラップ療法は「湿潤療法」のひとつだがデメリットも

浸出液のコントロールが大切(C)iStock

 やけどに限らず、すり傷や床ずれなどでも湿潤療法が行われるが、最も大切なのは浸出液のコントロールだという。

 しかし、ラップではそれができない。たとえば、やけどでできた水ぶくれが破綻し、中から汁が出てくるケースがあるが、それをラップで閉じ込めてしまうと、細菌などの感染が生じて悪化してしまう可能性がある。ラップでは密閉の度合いを調整できないのだ。

「大切なのは、過度な湿潤ではなく適切な湿潤なのです。最大のリスクは感染なので、浸出液の度合いを見ながら、使うのは軟膏+ガーゼがいいのか、創傷被覆材なのか、それともまた別のものがいいのか、といったように方法を決めていきます。個別に異なる病態をきちんと把握して、一番トラブルなく良いゴールにたどり着けるように治療するというのが医者の役目。ラップ療法に限らず、『ひとつの何かをしたら、魔法のように全部治る』というのは、医学ではあり得ない話なんです」

 広範囲のやけどにラップ療法を行ったことで、感染症により死亡した例もあるという。ひどいやけどをした場合、自己診断はせずに医療機関に行くべきだ。 (つづく)

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