正解のリハビリ、最善の介護

能力を高めるためのリハビリ医療で「FIM」をどのように使うのか

ねりま健育会病院院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 主な役割は以下のようになります。看護師は、食事、排尿、排便、入浴動作などの生活の必須動作。理学療法士は、ベッド・トイレ・風呂の移乗、歩行・階段などの移動と移乗動作。作業療法士は、整容、更衣、トイレ動作、問題解決などのADLと、身だしなみ、意思の疎通。言語聴覚士は、理解、表出、社会的交流、記憶。それぞれ該当項目を担当して回復を目指すのです。

 当然、すべての職種がすべての項目に関わる場面が出てきます。そのために副担当も必要です。とりわけ、重要な役割を占めるのが看護師です。主な役割で挙げた4項目以外の14項目すべてに関わるからです。

 また、作業療法士も、副担当として主な役割の5項目以外の残り13項目を担当します。理学療法士は、主な役割の5項目以外は、整容、更衣、入浴動作、トイレ動作、排尿、排便の7項目に副担当として関わります。言語聴覚士は、主な役割の4項目以外は、食事と問題解決の2項目に関わっています。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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