正解のリハビリ、最善の介護

脳画像の診断は脳卒中だけでなくすべての患者にとって大切

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 以前、機能と能力を回復させる攻めのリハビリでは、「脳の画像診断」が重要だとお話ししました。脳卒中などで脳に損傷がある場合、適切なリハビリ計画を立てるには、脳の画像から「どこまで回復するのか」「どんな障害が残ってしまうのか」といったことを判断する必要があるからです。

 ただ、脳の画像診断が重要なのは、脳に損傷がある患者さんだけではありません。骨折や脊椎の手術後に来院される運動器疾患の方や、肺炎などさまざまな手術後の廃用症候群で来られる患者さんでも、脳の状態でそれぞれ回復の度合いが異なるからです。

 リハビリへの意欲があり、訓練治療や自主訓練を繰り返せる患者さんは良くなります。しかし、そうではない場合は回復が難しい現実があります。脳の画像診断によって、それらをある程度は判別することができるのです。

 リハビリ治療による人間力の回復には、①年齢②脳の状態③発症前の筋力・体力・認知機能の状態④今回の病巣⑤発症後の廃用症候群の有無が影響します。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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