家計簿を見れば病気がわかる

塩を多く買う県に高血圧が多いわけではない

(C)日刊ゲンダイ

 とはいえ、最近は日本人の食事も徐々に欧米化していますから、その分は塩の量を抑えるべきでしょう。

 塩は高血圧の原因とされています。そこで食塩の購入量の上位5県と下位5県について、メタボ健診の血圧結果と一緒に表にしてみました。1世帯当たりの塩の購入量は、全国平均で約2.1キログラム。しかしトップの山形は5キログラム近くも買っています。上位はいずれも東北・北陸勢で占められています。

 50代の男性について、血圧140以上、160以上の高血圧者の割合を計算してみました。ところが意外なことに、塩の購入量の上位県と下位県で、さほど大きな違いが見られないのです。確かに上位県では、高血圧の人の割合が全国平均よりも高めです。しかし青森は、全国平均よりも低めになっています。

 一方、下位県でも、大阪や栃木などは、全国平均よりも高めになっています。つまり家計簿の塩の購入量を見ただけでは、塩が血圧に悪いかどうかは分からないということです。

 とはいえ、味噌や醤油なども、塩分をたっぷり含んでいます。それらも含めた順位は、どうなっているのでしょうか。明日は、それを調べてみましょう。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。