がん医療の進歩と、DPCの導入の結果、抗がん剤治療などのために長期の通院生活を強いられる患者が増えています。しかし、現役世代にとって、闘病と仕事を両立するのは決して容易なことではありません。その結果、「がん離職」という新たな社会問題が生じているのです。
例えば東京都が2014年に発表した調査結果によれば、進行がん(Ⅲ期・Ⅳ期)の人の2~3割が退職に至っています(表1)。また、非正規社員やパート・アルバイト、若い人ほど、離職率が高いという結果です。治療費や収入減など、経済的困難を訴えている人の割合は、表2のようになっています。やはり若い人ほど割合が高くなる傾向が読み取れます。
■「休業補償」は働けなくなった時の頼り
病気で働けなくなったときに頼りになるのが、健康保険の休業補償(傷病手当金)です。標準報酬日額の3分の2に相当する金額を、最長1年半にわたってもらえる制度です。しかも、一定の条件さえ満たしていれば、会社を辞めてももらい続けることができます。金額は、月給が30万円の人で約6700円/日、40万円なら約9000円/日です。十分とはいえませんが、生活費の足しになります。
がん保険 本当に必要ですか