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痛みナシ&たった5分で計測 最新「血液検査装置」に期待

自宅でできるようになる?(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病患者の中には、食事のたびに血糖値を測る人が大勢います。指先を切って血を絞り出し、専用の測定器で測るのですが、痛みを伴うため大きな負担になっています。しかし、そんな苦痛から解放されるかもしれません。アメリカのベンチャー企業が痛くない家庭用血液検査装置の開発に成功したのです。

 アップル社からスピンアウトしたNueon社が作った「Cor」という装置です。採血用のCorカートリッジ、測定を行うCorリーダー、データ解析用のスマホアプリ(Corアプリ)からできています。

 カートリッジは、印鑑のような細い円筒形をしています。中に採血用の針がセットされていて、ハンコを押すように肌に当てると、微量の血液が採取されます。極細の針を使っているため、痛みはまったく感じないそうです。

 次にカートリッジをリーダーにセットします。新書本を2~3冊重ねた程度の大きさです。光を使って血液成分を調べ、血糖値、コレステロール(HDL、LDL、総量)、中性脂肪、炎症因子(フィブリノーゲン)を5分以内に計測し、結果をスマホに転送します。それをアプリが解析・表示するという仕組みです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。