ピロリ菌は胃壁に寄生して、胃炎や胃潰瘍を引き起こすことで有名です。ピロリ菌が寄生するためには、胃粘膜細胞にしっかりと密着する必要があります。そうでなければ、ピロリ菌は食物と一緒に胃から押し出され、最終的には便に混じって排泄されてしまいます。
一方、胃粘膜細胞の表面には、血液型糖鎖が大量に存在しています。A型の人はA型糖鎖、B型はB型糖鎖といった具合です。ピロリ菌は、それらの糖鎖と結合するための仕組みを持っています。しかもどうやらO型糖鎖と、より強く結合する傾向があるらしいのです。世界的にO型が消化器潰瘍になりやすいのは、それが理由かもしれません。
一方、最近「ゲノムワイド解析」(GWAS:Genome Wide Association Study)と呼ばれる新しい遺伝子解析方法による研究が増えてきました。人の全遺伝子の特徴を調べ上げ、病気との関係を統計学的に明らかにしようという試みです。遺伝子の特徴と消化器潰瘍の関係を調べる研究が各国で行われており、胃潰瘍や十二指腸潰瘍と関係がありそうな特徴が、血液型遺伝子が存在する染色体の同じ部位にあることが分かってきたのです。
もしかしたら、消化器潰瘍と血液型の関係が、遺伝子レベルで解明されるかもしれません。
なりやすい病気は血液型でわかる