とはいえ、日本の中央官庁には、ITの専門家が不足しています。日本政府が国家レベルのIT事業に取り組んでも、税金の無駄遣いになってしまうことは、住基ネットやマイナンバーで露呈しています。民間企業にも、アメリカのITの巨人たちと張り合うだけの力はなさそうです。
■病気予防や管理は難しい
一方、日常の健康データは、通院や入院といった医療データ、毎年の健診データ、予防接種記録などと組み合わせることによって、個人的にも国レベルでも、さらに医療産業全体にとっても、価値が大きく上がります。ところが日本では、それらのデータの大半が、病院・健保組合・自治体ごとにバラバラに管理されており、政府ですら手を付けかねている状態です。
アメリカは、社会保障番号によってすべての医療記録が追えるようになっています。しかも、データフォーマットも標準化されています。本人が望めば、アップルやグーグルのサーバーに自分の医療記録をコピーすることも可能です。他の先進国や韓国、台湾などでも、国民総背番号制やデータの標準化が完了しており、日本だけが後れを取っている状況です。
日本では当面、ウエアラブル機器を使った健康データを、専用アプリを使って自分の健康管理に利用できるのみです。医療データなどと組み合わせた病気の予防や管理は、当分難しいでしょう。
スマホが医療を変える