明細書が語る日本の医療

膀胱がんの内視鏡手術数は新規患者数よりはるかに多い

膀胱がんと腎臓がんに対する手術(C)日刊ゲンダイ

 膀胱がんの手術は、開腹で膀胱を全摘する「膀胱悪性腫瘍手術」と、尿道から特殊な内視鏡を差し込んで行う「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」の2種類です。

 腎臓がんは、がんに侵された腎臓の全摘を行いますが、大きく開腹と腹腔鏡に分かれます。〈表〉に男女別の実施件数(2014年度)をまとめました。

 膀胱は尿を蓄積する袋です。尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱に流れ込みます。膀胱を切除してしまうと、尿の行き場がなくなってしまうため「尿路変更術」が同時に行われます。お腹にストーマ(排泄口)を作り、そこに袋を付けることになるため、QOLの低下が避けられません。前立腺や精巣などもあわせて切除します。

 部分切除ならストーマは不要です。がんとその周辺だけを切り取り、残りを縫い合わせるのです。ただし件数は限られています。また、開腹術にかえて腹腔鏡手術が行われることもありますが、やはりかなり少なめです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。