Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

星野仙一さん命を奪った膵臓がんは糖尿病の「第4の合併症」

殿堂入り発表の会見をする星野仙一氏(2017年11月)/(C)日刊ゲンダイ

 予備群によく見られる肥満や運動不足も、高インスリン血症の原因に。過度の飲酒や喫煙は、糖尿病とがんのリスクをどちらも引き上げます。これらが積み重なって、糖尿病はがんの大きなリスクなのです。

 星野さんもたばこをたしなんでいたようですが、昭和の大横綱・千代の富士も糖尿病で、元気だったころは強い洋酒を好む酒豪として知られ、膵臓がんで亡くなっています。

 糖尿病を患う期間が長引くにつれ、膵臓がんのリスクが増加。膵臓がんによる死亡は60歳以上が9割を占めています。その難治がんは早期発見が難しく、予防が第一。そのカギは、糖尿病対策です。糖尿病の3大合併症は神経障害、網膜症、腎症ですが、個人的には膵臓がんを第4の合併症に含めてもいいと思っています。その心構えで、膵臓がん予防に努めてください。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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