独白 愉快な“病人”たち

TVグルメ情報は見れず…田中健さん急性膵炎の苦しみ語る

3日間の絶食中はグルメ番組を見るのもつらかった(C)日刊ゲンダイ

「救急車……呼んでくれ……」

 そう言うのがやっとでした。痛みに耐えることだけに必死で、ほかのことは何もできない、何も見えない、何も考えられない状態でした。

 2013年の春、その日はパーティーがあり、ビールとワインを1~2杯ずつ飲んで帰宅しました。そろそろ寝ようとしていた夜の11時、妻に「なんかちょっと胃が痛いな」と一言つぶやいたのがスイッチだったかのように、ものの数秒で「痛い」が「痛い痛い!」になったんです。

 そう言っている間にも痛みが増して激痛になるまで何分もかかりませんでした。経験したことのない痛みで横になんかなっていられないんです。息を止めてテーブルの端をギュッと掴んでしがみついていないといられないくらいの痛みでした。

 救急搬送された病院で「急性膵炎」と診断されました。膵臓は、胃の後ろにある15センチ程度の細長い臓器です。食べ物の消化に必要な膵液(消化酵素)を作っていて、正常ならば膵臓自体を消化してしまわないように働いているのですが、なんらかの原因で自らの膵臓を消化し始めてしまうのが急性膵炎だそうです。

1 / 5 ページ

関連記事