がんと向き合い生きていく

「がん細胞があるかどうか」を確認する検査は最も重要

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 細胞診断は、組織ではなく剥離した細胞、つまり剥がれ落ちる細胞を観察するもので、喀痰、尿、胸水、腹水、脳脊髄液、胆汁、乳腺の分泌物などで行われます。また、がんを疑われる腫瘤に針を刺し、細胞を吸引して検体とする場合もあります。そこでがん細胞を見つけることによって、がんの診断ができます。

 しかし、少ない検体で判断することから、その検体にがん細胞がなかった場合は「採取した検体にはがん細胞がなかった」というだけにすぎません。体全体の診断をしなければ「がんではない」とはいえないのです。

 細胞診は尿や喀痰といった検体を採取することが患者の負担にならないという利点があります。ただ、検体の取り方などによって細胞が壊れかかっていた場合は診断できません。

 細胞診断では、一般的にクラスⅠ(異常細胞は認めない)、Ⅱ(異常細胞または異型細胞を認めるが悪性ではない)、Ⅲ(悪性細胞を疑うが確定的ではない)、Ⅳ(悪性細胞を強く疑う)、V(悪性細胞と断定できる)に分けられます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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