この方式は、アメリカのクリーブランドクリニックに似通っていて、こちらはアメリカの軍医総監が立ち上げた病院です。ちなみに、日本の軍医総監が設立した病院が順天堂医院です。
その病院では、僧帽弁閉鎖不全症の弁形成術を行いました。しかもその患者さんは、ベトナムでは比較的少なく、日本やアメリカで多い僧帽弁の逸脱症で、僧帽弁を支えている腱索(弁と左心室の壁をつないでいる)が断裂している状態でした。特にこのケースに該当する僧帽弁前尖が壊れた患者さんは、弁膜症患者の10~15%くらいしかいないため、一般的には弁形成に高い技術と経験が要求されます。
ただ、私自身は多くの症例を完治させてきた経験から困難だとは思っていません。手早く人工腱索を使って3本の腱索を再建し、劣化した弁の周囲にリングを装着して補強する処置を行いました。これで、血液の逆流は一切なくなります。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」