「施設に勤めている人は8時間の勤務時間で解放される。大変な仕事だけれど、きっとそれで優しくしてあげられるのだと思う。それが2人を在宅で24時間、いつまで続くか分からない。赤ちゃんのおむつを取り替えるのとは違うのよ」
妻は私にこう言っていました。
時には、ショートステイで1週間ほど2人を施設に預かってもらいました。しかし、その時は妻の体の負担は癒やされても、心の負担は癒やされませんでした。
「自分は優しくしてあげたいのに……」
妻は時々、父母に厳しいことを言ってしまって、2階に上がってひとり自分の情けなさに泣いたといいます。そして、こんなことを言い出したのです。
「ノイローゼになってしまいそう……私が先に死ぬ」
■親に向かって大きな声を出す自分が情けなくなった
がんと向き合い生きていく